足・足首の痛み
足・足首の痛み

外反母趾は足の親指(母趾)が外側に曲がり、付け根の関節が内側に突き出すことで痛みや変形を起こす疾患です。見た目の変形だけでなく、歩行時の痛みや靴の圧迫感など、日常生活に支障をきたすことがあります。軽度では見た目の変化だけですが、進行すると関節の炎症や変形性関節症を伴い、歩行が困難になることもあります。女性に多く、中高年層での発症が目立ちます。
主な原因は遺伝と靴の影響です。先の細い靴やハイヒールを長期間履くと、指が圧迫されて付け根に負担がかかり、変形が進みます。扁平足や靭帯の緩みも関係しており、家族に外反母趾がある場合は注意が必要です。症状は親指付け根の痛み・腫れ・赤みのほか、タコやウオノメができることもあります。重度になると隣の指に重なり、靴を履くのが難しくなります。
治療は重症度で異なります。軽度では靴の見直しや足底パッド、サポーターで進行を防ぎます。痛みが強い場合はインソールで負担を軽減し、重度では骨切り術で角度を整えます。近年は低侵襲手術も行われ、早期回復が可能です。外反母趾は放置せず、早めの受診と靴選び、足のストレッチが予防の鍵です。
足底腱膜炎は足の裏でかかとから指の付け根を結ぶ強い腱膜「足底腱膜」に炎症が起こる疾患です。この部位は歩行や立位で体重を支える重要な構造であり、炎症が生じると歩くたびにかかとや足裏に痛みを感じます。特に朝の起床時や長時間座った後に立ち上がる際に強い痛みが出るのが特徴です。中高年に多いものの、スポーツ愛好家や立ち仕事の方にも発症しやすい傾向があります。
主な原因は足底腱膜への繰り返しの過負荷です。長時間の立位・歩行、硬い地面でのランニング、不適切な靴の使用、扁平足やハイアーチなど足の形状異常が関与します。痛みはかかとその付近に多く、進行すると慢性化し、歩行が困難になることもあります。
治療は安静と負荷軽減が基本です。ストレッチやマッサージで腱膜の緊張を和らげ、インソールやかかとパッドで衝撃を吸収します。炎症が強い場合は消炎鎮痛薬や局所麻酔剤・ステロイド注射、超音波治療などを行います。慢性例では体外衝撃波治療が有効です。足底腱膜炎は放置すると痛みが長引くため、朝の一歩目に痛みを感じたら早めに整形外科を受診しましょう。
モートン病(神経腫)は足の指の付け根(中足骨頭の間)にある神経が圧迫され、炎症や腫れを起こして痛みやしびれが生じる疾患です。特に第3趾と第4趾の間に多く発生し、女性に多い傾向があります。歩行時やつま先立ちの際に足の裏にピリッとした痛みや灼熱感が生じ、進行すると安静時にも違和感が続くことがあります。
原因は先の細い靴やハイヒールなどによる足指の圧迫、長時間の立ち仕事、ランニングなどで足の前方に負担がかかることです。扁平足や開張足(足の横幅が広がる状態)などの足の形の問題も関係し、神経が中足骨により圧迫されることで神経腫が形成され、痛みが悪化します。進行すると、指の間に小石が挟まっているような違和感を覚えることもあります。
治療は保存療法が中心で、幅の広い靴を選び、インソールや足底パッドで圧迫を軽減します。痛みが強い場合は消炎鎮痛薬やステロイド注射を行い、改善が乏しい場合は神経腫摘出術を検討します。手術後は歩行訓練を行い、再発防止のために靴選びと足のケアが重要です。足の付け根の痛みやしびれを感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。
中足骨疲労骨折は足の甲にある中足骨に繰り返しの負担が加わることで、骨に微細なひび(ストレス骨折)が生じる病態です。転倒や強い衝撃による通常の骨折とは異なり、日常生活やスポーツなどによる負荷の蓄積が主な原因となります。特にランニング、バレエ、サッカーなどの競技者に多くみられますが、長時間の立ち仕事や硬い靴での歩行でも発症することがあります。
原因は骨への微細な損傷が修復よりも速いペースで繰り返されることです。第2・第3中足骨に多く、初期は軽い痛みや違和感から始まり、進行すると歩行や運動時に強い痛みが出現します。足の甲の腫れ、熱感、圧痛(押したときの痛み)を伴うこともあります。放置すると完全骨折へ進行する危険があるため、早期診断が重要です。
治療は安静が基本で痛みが強い場合や骨折線が明瞭な場合にはギプスやシーネで固定します。通常4〜8週間で回復し、痛みの軽減後にリハビリを行います。再発予防には靴の見直しやインソールの使用、運動量の調整が有効です。カルシウムやビタミンDの摂取も骨の回復を助けます。足の甲の痛みが長引く場合は、単なる筋肉痛と思わず整形外科を受診してください。
扁平足は足裏の「土踏まず(アーチ)」が低下・消失し、足裏全体が地面に接する状態です。土踏まずは衝撃吸収と姿勢保持に重要で、崩れると足・膝・腰へ負担が波及し、疲労や疼痛、足裏中央やかかとの痛みが出やすくなります。幼児期は一過性にみられますが、多くは成長とともに自然形成されます。
原因は先天的形態、筋力低下、加齢、体重増加、長時間立位、不適切な靴などです。成人では後脛骨筋(こうけいこつきん)機能低下による後天性扁平足が多く、長距離歩行で内くるぶし周囲痛、疲れやすさ、靴の内側の擦耗が目立つようになります。
治療は症状に応じインソール、ストレッチ、筋力訓練(つま先立ち)を基本とし、強い痛みや変形には装具療法や手術でアーチ再建を検討します。進行例では足首が外側へ傾く(外反)傾向や、歩幅の減少、ふくらはぎの張りを自覚します。診断は視診・触診に加え、X線や超音波でアーチの高さや骨配列等を評価します。インソールは足型に合わせて調整し、体重管理と歩行フォームの見直しも併用すると効果的です。扁平足を放置すると膝や腰への負担が増えるため、早めに整形外科を受診し、足の状態を確認することが大切です。
強剛母趾は親指の付け根にある関節の軟骨がすり減り、炎症や骨の変形を起こすことで発症します。初期は親指を上に反らせる際の痛みや、歩行時につま先で地面を蹴り出しにくいといった違和感から始まります。進行すると関節が硬くなり、腫れや熱感を伴い、靴を履くだけでも痛みを生じます。重度では骨の突起(骨棘)が形成され、親指がほとんど動かなくなることもあります。
原因としては加齢や外傷、関節への繰り返しの負担が挙げられます。ハイヒールや先の細い靴による圧迫、スポーツや立ち仕事でのつま先への過剰な負荷、さらに扁平足や外反母趾などの構造的異常も関与します。主な症状は歩行時の母趾の付け根の痛みや腫れ、関節のこわばりなどです。
治療は症状の程度に応じて行われます。軽度ではインソールやストレッチ、温熱療法で関節の柔軟性を保ち、痛みを軽減します。痛みが強い場合は消炎鎮痛薬や関節内注射を併用します。変形が進行した場合には、骨の一部を削る切除術や関節を固定する関節固定術が検討されます。足の親指の付け根に痛みを感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。初期に治療すれば、進行を防ぎ、手術を回避できることもあります。
リスフラン関節損傷とは足背中央部に位置する「リスフラン関節複合体」を構成する関節および靭帯群が損傷する外傷性の疾患です。この部位は中足骨と足の骨をつなぎ、足のアーチ構造を保ちながら体重を支える重要な役割を果たします。歩行や走行時の衝撃を吸収するクッションのような働きがあるため、損傷すると足のバランスが崩れ、痛みや腫れ、安定性の低下が起こります。
原因は足への強いねじれや圧迫で、特につま先が固定された状態で足首をひねる動作により発生します。サッカーやバスケットボールなどの着地時のねじれ、階段での転倒、重い物を落とすなども要因です。
主な症状は足の甲の腫れや強い痛み、体重をかけた際の激痛、足裏のあざなどで、重症ではアーチが崩れることもあります。
治療は損傷の程度によって異なり、軽症ではギプス固定と安静、重症ではプレートやスクリューによる整復手術が行われます。リスフラン関節損傷は見逃されやすいため、痛みや腫れが続く場合は早期に整形外科を受診することが大切です。
踵部脂肪体炎はかかとの下にある柔らかい脂肪組織(脂肪体)に炎症や損傷が生じる疾患です。脂肪体は皮膚と踵骨の間でクッションの役割を果たし、歩行や立位時に衝撃を吸収しています。この部分が繰り返しの圧迫や強い衝撃を受けると炎症が起こり、かかとに鋭い痛みを感じるようになります。特に硬い床での立ち仕事や、クッション性の乏しい靴の使用、体重の増加などが発症に関係します。ランニングやジャンプを繰り返すスポーツ選手にも多く見られます。
痛みはかかとの中央やや内側に現れ、朝の一歩目や長時間の歩行後に強くなるのが特徴です。慢性化すると歩行時のバランスが崩れ、姿勢にも影響を及ぼすことがあります。また、痛みをかばって歩くことで他の部位(膝や腰)に負担がかかることもあります。
治療は安静と圧迫の軽減が基本で、柔らかい靴やインソールの使用、冷却、消炎鎮痛薬、理学療法などが行われます。症状の程度によっては、装具療法やストレッチ指導が加わることもあります。症状が続く場合は、足底腱膜炎など他の疾患との鑑別が必要になります。痛みを放置せず、早めに整形外科を受診することが重要です。
アキレス腱断裂はふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)とかかとの骨をつなぐ強い腱であるアキレス腱が、急な力で部分的または完全に切れてしまう状態を指します。アキレス腱は歩行やジャンプ、つま先立ちなどの動作に関わる重要な組織で、体の中でも負担がかかりやすい部位です。
発症はスポーツ中のダッシュやジャンプ、方向転換のほか、段差での踏み外しや急な立ち上がりでも起こります。「後ろから蹴られたような衝撃」や「パチンという音」を感じることが多く、直後から歩行が難しくなる場合があります。特に40〜50代の男性に多く、運動習慣がない方が急に激しい運動をした際に起こりやすい傾向です。
原因は腱への急な収縮や加齢による変性などで、断裂するとつま先立ちができず、歩行時に足が前に出にくくなります。腫れや内出血を伴うこともあり、痛みの程度はさまざまです。
治療は手術療法と保存療法に分かれ、手術では切れた腱を縫合して早期リハビリが可能になります。保存療法では装具で固定し自然治癒を促します。いずれも筋力回復のためのリハビリが重要で、早期診断と適切な治療が日常生活への早い復帰につながります。
慢性足関節不安定症は足首の捻挫を繰り返すうちに、関節を支える靭帯や関節包、筋肉の機能が低下し、足首が不安定になる状態を指します。軽い段差や不整地で足をひねりやすくなり、「捻挫ぐせがある」と感じる方の多くが該当します。特に外側の靭帯(前距腓靭帯・踵腓靭帯など)が十分に回復しないまま運動を再開すると、関節の安定性がさらに低下します。放置すると関節軟骨や骨に過剰な負担がかかり、将来的に変形性関節症や慢性的な痛みへ進行する可能性があります。
主な原因は足関節捻挫後の不十分な治療やリハビリです。靭帯の損傷が治りきらない場合や、足首を安定させる腓骨筋群の筋力低下、バランス感覚の低下も関係します。症状としては、歩行時や運動時のぐらつき、不安感、痛み、腫れ、違和感などが挙げられます。
治療は保存療法が中心で、筋力強化トレーニングやバランス訓練、インソールの使用によって安定性を高めます。改善が見られない場合や靭帯の断裂がある場合には、靭帯修復や再建術を行うこともあります。いずれもリハビリを継続し、筋力と感覚の回復を図ることが重要です。
後脛骨筋腱機能不全は足首の内側にある後脛骨筋腱が炎症や変性、断裂などによって機能を失い、足のアーチ(特に土踏まず)が低下・崩壊してしまう疾患です。後脛骨筋はふくらはぎの深部で足のアーチを支え、歩行時に地面をしっかり蹴り出す重要な役割を担っています。この腱に障害が生じると、足の内側からかかとにかけて痛みや腫れが現れ、歩行時の安定性が低下します。進行すると足の形が扁平化し、かかとが外側に傾く「後天性扁平足」を引き起こすことがあります。
主な原因は加齢による腱の変性や長時間の立位、過度な運動などによるオーバーユースです。初期には足首の内側の痛みや腫れ、違和感がみられますが、進行すると土踏まずの低下や外反変形が目立ち、歩行に支障をきたします。重症化すると、関節の変形や慢性的な痛みが持続し、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
治療は進行度に応じて行われ、初期ではインソールや装具によるアーチの補助、消炎鎮痛薬や理学療法を用いた保存療法が中心です。高度な変形や断裂例では、腱移行術や骨矯正術などの手術が必要となる場合もあります。早期の診断と治療が進行抑制と機能回復に重要です。
前方・後方インピンジメント症候群は足首の関節内で骨や軟部組織が繰り返し衝突(インピンジ)することで痛みや動きの制限を生じる疾患です。足首を大きく曲げ伸ばしする動作を続けることで、関節の前方または後方に炎症や骨の変形、靭帯の肥厚が起こります。サッカーやバレエ、陸上競技など足首を酷使するスポーツに多く、ジャンプの着地やキック動作をきっかけに発症します。初期は運動後の違和感から始まり、進行すると慢性的な痛みや可動域制限が残ることがあります。
前方型では足首を曲げる(背屈)動作で脛骨と距骨の間に炎症が起こり、前方の痛みや腫れ、動作時の引っかかり感がみられます。後方型はつま先を伸ばす(底屈)動作で距骨後方の骨や軟部組織が衝突し、後方の深い痛みを生じます。
治療は保存療法が中心で、痛みの原因となる動作を避け、安静・冷却・消炎鎮痛薬の使用を行います。理学療法では、関節可動域を維持するストレッチや筋力強化を行い再発を防止します。改善が得られない場合は、関節鏡手術で骨の突出や炎症組織を除去します。足首の前方や後方に痛みがあり長期間改善しない場合は、単なる捻挫や疲労と自己判断せず整形外科を受診してください。
短腓骨筋腱脱臼は足首の外側を走る短腓骨筋腱が本来の位置(腓骨の後方溝)から外れ、関節外にずれてしまう状態を指します。短腓骨筋腱は歩行や走行時に足首を安定させる重要な腱であり、脱臼すると強い違和感や痛みを伴います。主にスポーツ中のけがや足首のねじれ動作によって発症し、特にサッカーやバスケットボールなど急な方向転換を伴う競技に多くみられます。発症時に「パチン」「コリッ」と音がすることがあり、外くるぶしの後方に痛みや引っかかり感を感じるのが特徴です。
原因は足首を内側にひねる動作や、腱を固定する腱支帯の損傷です。支帯が断裂すると短腓骨筋腱が支えを失い、前方へずれて脱臼や亜脱臼を繰り返すようになります。症状として、外側の痛みや腫れ、腱の動く感覚、不安定感などがみられます。
治療は損傷の程度により異なり、軽度では固定や安静による保存療法を行います。腱支帯が断裂している場合や再発を繰り返す場合には、支帯再建術による手術が必要です。術後は一定期間の固定とリハビリを行い、再発を防止します。早期診断と適切な治療により良好な回復が期待できます。
アキレス腱周囲炎はふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)とかかとをつなぐ太い腱であるアキレス腱の周囲に炎症が生じる疾患です。腱そのものではなく、その周囲を包む滑膜や結合組織に炎症が起こるのが特徴で、スポーツ活動や長時間の歩行、加齢による腱の変性が関係します。特にランニングやジャンプ動作を繰り返す競技者に多く、慢性的な使いすぎ(オーバーユース)が主な原因です。
初期は「かかとの少し上が突っ張る」「歩くと違和感がある」といった軽い症状から始まり、進行すると痛みや腫れ、熱感を伴うようになります。靴に当たるだけで痛みが出たり、朝の一歩目で強い痛みを感じることもあります。
原因には繰り返しの負荷、不適切な靴、柔軟性の低下、加齢変化などが挙げられます。
治療は患部への負担軽減が基本で、運動の休止や冷却、消炎鎮痛薬、理学療法(温熱療法・超音波治療など)を行います。柔軟性回復のためのストレッチや筋力トレーニングも重要です。痛みが強い場合には装具やテーピングで固定を行い、早期対応によって多くは改善が期待できます。
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